12月25日(水) 晴れ
夜中にふと目覚めた。
居間の方でコトコト物音がする。
古い西洋式の建物は煉瓦造りで、
居間の中央には大きな暖炉がある。
平均的な日本人男性なら
中に立っても頭がつかないくらいの大きさだ。
「こんな夜中に何だろう。もしかして泥棒?」
ふと恐ろしくなり、
日ごろ特攻隊長の印として使っている
鉄パイプ
を片手に持ち、真っ暗な居間に向かった。
「コトッ」
また物音がした。
「うおおおおお」
恐ろしさを吹き飛ばすほどの大声を出しながら音のした方に走り、
渾身の力を込めて、あたりを鉄パイプで
めくら滅法打ちまくった。
「ううっ」
鈍い手応えとともに呻き声がした。
「やっぱり泥棒だったか。」
全身の力を込めて、さらにめった打ちにした。
10分ほど経っただろうか、少し冷静さを取り戻し、
殴る手を少しゆるめた。
動く気配はない。完全に手を止めた。
「ううう」
呻き声がかすかにするだけで、まったく動く気配がない。
少し安心して、部屋の明かりをつけた。
明るく照らし出された室内には、割れた食器の破片や
テーブルの上にあった燭台が床に散乱し、
先ほどまでの死闘の跡を残していた。
暖炉の片隅には人間らしき物体が横たわっていた。
よく見れば、それは紛れもなく人間であった。
それも、かなり年のいった老人男性だった。
その老人が、全身血まみれで倒れている。
「おまえはだれだ」
すっかり落ち着きを取り戻し、強い調子で問いただすと、
血まみれの老人はこう答えた。
「サンタクロース」
だから、サンタの服は赤いのだ(と思う)。
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