修士論文の要旨

論文題目: The continuity of the topological entropy of one dimensional maps with degenerate critical points
臨界点が退化した一次元写像の位相的エントロピーの連続性

要旨:

区分的に単調な閉区間上の一次元連続写像の位相的エントロピーは、Collet, Crutchfied and Eckmann や Gora and Boyarsky によって数値評価および計算アルゴリズムが得られ、Misiurewicz and Szlenk や Milnor and Thurston によって、写像の臨界点の個数が変化しない場合について C1 関数に対しては連続であることが示された。しかし、写像の単調区間の個数(lap数)が摂動によって 変化するような場合には彼らの議論は適用できない。また、Misiurewicz and Szlenk は2以上の任意の 整数 r に対して位相的エントロピーが不連続になるような Cr 関数の例を構成した。 これは、写像の臨界点が退化している場合に、その位相的エントロピーは一般には連続とはならない ことを示している。
この例では、臨界点の退化度数が無限となるが、たとえば多項式のようなクラスの中で 写像を変化させていく場合、 臨界点が無限個になることはありえない。そこで、臨界点の退化度数が有限個の場合に その写像の位相的エントロピーが連続であるかという問題が提起される。 この論文は、この問題を肯定的に解決した。

定理
r >=2 とし、 FrCr 関数の集合で
Fr= {f of Cr(I,I); for all x in I, there is k, 1 < k <= r such that f(k)(x) <> 0 }.
このとき、位相的エントロピーは Fr で連続になる。
Misiurewicz and Szlenk の反例を考えると、 Fr は、位相的エントロピーが連続になる最大のクラスになる。
証明の主な手法は、Milnor and Thurston の kneading theory に基づく。 彼らは、臨界点を行、単調区間を列とする行列の行列式を用いて 位相的エントロピーの連続性を論じているが臨界点が退化している場合、 少しの摂動によってその行列のサイズが変化し、彼らの議論はそのままでは通用しない。 そこでこの論文では、退化している臨界点を形式的に非退化の複数の臨界点とみなし、 それらの形式的な臨界点の間に形式的な(長さが零の)単調区間を定義して、それによってできた 新たな行列の行列式がもとの行列の行列式と一致しているということを証明することにより、 行列のサイズが変化する場合にも kneading theory が適用できるようにした。 臨界点の退化には基本的には二つの場合がある。一つは臨界点が退化して一つの臨界点になっている場合で、 もう一つは臨界点が退化して鞍点となっている場合である。 一般の場合はこれらの組み合わせと見ることができる。

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mailto:iwai@poisson.ms.u-tokyo.ac.jp
(Japanese is available, of course ^_^)