我々のグループでは、非線形可積分系を中心に研究を行っています。
ソリトンとは、衝突しても壊れない粒子的なパルスのことであり、さまざまな 理工学の分野でエネルギーや情報を運ぶ重要な要素である。1次元におけるソ リトン理論の研究は近年大いに進んだが、多次元系への拡張・広いクラスの解 の構成・初期値問題の取り扱いなど多くの未解決の課題がある。これらを研究 していく中で、非線形問題をある程度統一的に扱う理論の構築を目指している。
数値計算に表れる様々な「良い」アルゴリズムの背景には、可積分系の構造が あるのではないかと期待されている。「可積分系」の視点が、アルゴリズム、 さらには他の数理工学の諸問題において果たす役割を解明することを目的に研 究を行っている。
微分差分方程式・差分方程式・セルオートマトンなどに代表される離散系は、 さまざまな物理系を記述するモデルとして、近年重要性を増してきている。ソ リトン方程式には背後にある代数的構造のために対応する差分方程式が存在す る。現在そのような差分方程式の構成およびその応用を研究している。
さらに、差分化したソリトン方程式である種の極限をとると、オートマトン的 な方程式が得られることが最近明らかにされた。こうした系の背後にある数学 的構造も研究中である。
量子多体系、量子スピン系などのうち、ある種のモデルは厳密な取り扱いが 可能である。これらの模型の背後の数理的構造を解明するとともに、他の系 への適用性などを調べ、量子可積分系に対する統一的な理解を目指している。